3月のライオン
![]() |

おなかに抱えた弁当が
まるで
小さな生き物のように あったかかった
ぼくはバカだ
落ち込み方までヘタなんて
早く大人になりたかった
自分の足で立てるようにならなければ
大事な人たちを
守れないと思ったから
僕は何だか
いろんなモノが込み上げてきて
胸が苦しいような
泣きたいような気持ちになった
そうだ僕は
あの時ここで
君を守ると約束したのに
もう後が無くなった事がわかった
と同時にふと思った
もしここからの手を全て
最前の手のみで指し通せたとしたら
この将棋はどこまでいけるのかなぁって...
でもね
れーちゃんは泣いてた
涙が ポーロ ポーロ してた
泣きじゃくる 彼女の声を聴いていたら
閉じ込めてあった 疑問が胸の中で
インクみたいに滲み出た。
いつ頃からだろう
クリスマスを苦しいと思うようになったのは
「潔い」のと「投げやり」なのは
似ているけど違うんだ!!
「縮まらないから」といって
それがオレが進まない理由にはならん
「抜けない事があきらか」だからってオレが
「努力しなくていい」って事にはならない
こんな急に手に入ったものは
やっぱりまた 急に消えて行っちゃうのかなあ
でも 今は ただ うれしくて
うれしくて…
そうだ もしいつか消えちゃうんだとしても
忘れないでおこう
うれしかった日は 確かに あったんだって
また いつでも 何度でも
取り出して
想い出せるように
ごめんね…もっとみんなを遠くまで運んであげたかった…
ごめんね…ずっと一緒に冒険したかった…だけどぼくは…
だけどぼくは…幸せだった
ぼくは…本当に…幸せだった
知らない街の川辺りなのに
零ちゃんがとなりに座ってくれただけで
いつもの川辺りにいるような気持ちになった
知ってる場所にいるみたいに落ちついた

